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児童福祉について弁護士・児童相談所・福祉関係者とディスカッション。内容をレポートします!

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8/21に司法と福祉の勉強会「ひまわりネットワーク」を開催しました。

弁護士・司法書士や福祉関係者が当たり前に連携できることを目指して、2015年からスタート。

今回が14回目になりますね。

 

テーマは「児童福祉」について。

虐待や子どもの貧困、子ども食堂などで注目が集まるテーマで、40人近くが参加されました。

二部構成になっており、前半は児童福祉全体のレクチャーを様々な関係者がリレー形式で説明。後半は全体でディスカッションを行いました。

弁護士、児童相談所、児童福祉、障害福祉の関係者などなど、これだけ多様なメンバーが集まってディスカッションできる機会は大変貴重でした。

とてもいい会だったので、内容をレポートします!

 

もくじ

 

児童福祉の支援は「年齢」と「生活の不安定さ」で分類できる

児童福祉は様々な法律が組み合わさっており、全体像の理解が難しい…。

そこで、今回は「年齢」と「生活の不安定さ」の2つの軸で整理してみました。

 

【年齢】

子どもや親の状態に関わらず、子どもの年齢に応じてだれでも受けられる支援。

乳幼児の保育園・幼稚園や、学校がわかりやすいですね。

 

【生活の不安定さ】

親や子どもに何らかの課題があり、生活や子育てに不安定さがある家庭への支援。

虐待や虞犯(ぐはん)少年、触法少年と呼ばれる人たちへの支援が挙げられます。

 

年齢による支援は小学校入学前後で分類

まずは年齢による支援について。

子育て世代包括支援センターの方を中心にして、年齢による支援についてレクチャーしていただきました。

 

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子育て世代包括支援センターとは、妊娠期から小学校入学前までの子育ての相談をなんでも受け付けるセンター。

平成27年度から制度がはじまりました。

 

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進行役をしながら板書も一緒にしたら、悲惨な感じになった…。

専門用語的には、0歳〜6歳までの未就学児童に対しての支援は「母子保健」、それ以降を「児童福祉」と呼びます。

 

 

0~6歳の母子保健:全ての母子の健康を見守り、虐待リスクを把握

母子保健では子どもが産まれる前、妊婦のころからフォローを開始。

子育てに不安がある親を「特定妊婦」と位置づけて、自宅訪問などの重点的な支援を行います。

子育て世代包括支援センターもはじまり、子育てだけでなく経済面など生活全体の相談ができるようになりました。

子どもの居場所としては保育園・幼稚園がメジャーですが、親も一緒に行ける場所も増えてきているようです。

 

母子保健の目的は子どもの健やかな成長ですが、裏の役割として虐待リスクの軽減と早期発見があります。

子育てはだれでも大なり小なり大変な営みです。

虐待リスクの高い家庭だけ支援する制度だけではなく、子どものいる全家族が余裕を持って子育てができた方がいい。

世の中全体の虐待リスクが下がることにもつながります。

虐待死は0歳0ヶ月がもっとも多いので、早いうちからサポートを開始するのもだいじ。

 

 

小学校入学後の児童福祉:学校との連携がポイント

6歳以上の子どもに対する支援である児童福祉。

この年齢の子どもは昼間は基本的には学校に通っています。

親が仕事をしていると放課後子どもだけになってしまうので、親が帰るまでの居場所として学童保育があります。

 

母子保健では子育ての相談ができる先がありますが、小学校に入学してからは基本的に学校に集約されることに。

子どもの様子が分かっている学校が親と一緒に子どもをみていくのはいいことですね。

課題は、行政や福祉機関、病院と学校がうまく連携できないケースが少なくないこと。

学校側も前例のないことや校長先生・教頭先生のゴーサインが出ないと動けないことも多く、現場の先生たちはかなり悩んでいるようです…。

 

 

年齢を問わず利用できる:児童館、児童家庭支援センター

母子保健、児童福祉両方の年齢をカバーしているものもあります。

1つは児童館。

18歳未満の全ての子どもが利用できる居場所で、ここから様々な支援につながることもあります。

もう1つは児童家庭支援センター

18歳未満の子どもと保護者の相談を受けています。

 

小学校入学を期に母子保健と児童福祉で制度が分かれるので、両方の年齢を通して利用できる貴重な存在。

 

 

生活の不安定は虐待と触法という課題であらわれる

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こっちも板書がひどい…。

 

「生活の不安定」による支援について、児童相談所の職員の方を中心にレクチャーしていただきました。

生活の不安定さからあらわれる問題として出てくるのが、虐待と触法。

 

1つは虐待。

児童虐待の通報を受けると、児童相談所が家庭に訪問。必要に応じて一時的に子どもを保護します。

その後の状況確認で子どもが家庭で暮らすのが難しければ児童養護施設などに入所となりますが、その割合は4%。ほとんどは一時保護後に家庭に戻ります。

 

もう1つは触法。

触法とは、放火やわいせつ、傷害など、事件を起こしてしまった14歳以下の子どもに対して使われる言葉。

万引きや夜間外出など、触法に至るおそれのある子どもは虞犯(ぐはん)と呼ばれ、こちらも支援の対象に。

 

 

 

虐待=ひどい親という認識は、虐待の解決を遠ざける

虐待というと「ひどい親が悪意を持って子どもに危害を加える」印象を抱きがちですが、そう考えるのは逆効果。

貧困や親・子どもの障害など、様々な理由で子育てが失調した結果なことが圧倒的に多い。親も子どもも困っているのです。

虐待=ひどい親という印象はより親を追い詰め、孤立を深め虐待を深刻化させるだけ。

一時保護後に子どもは96%は家庭に戻ることもあり、年齢による支援と一緒にどうやって支えるのがポイントだし、課題でもあります。

 

少年審判は、罪を裁くのではなく子どもの更生が目的 

触法や虞犯の少年が報告されると、まず児童相談所が状況を確認します。

在宅指導、施設入所となることもありますが、場合によっては家庭裁判所に送致されて少年審判となります。

 

弁護士の方より、少年審判について話をうかがいました。

少年審判は裁判の少年版とも言えるものですが、目的が決定的に違います。

大人の裁判は、有罪か無罪か、罪の重さをどうするか決めるのが目的ですが、少年審判の目的は子どもの更生。くだけて言うと育て直しですね。

大人の裁判は公開で行われますが、少年審判は非公開。これも子どもの更生を考えてのこと。

保護観察処分として保護司のアドバイスを受けながら生活する場合や、在宅での生活が難しい場合に少年院に入ることもあります。

 

虐待までいかないけれど、サポートが必要な家庭への支援

近年、子どもの貧困が大きくクローズアップされています。

日本に住む子どもの6人に1人が貧困状態と言われており、虐待とまでは言えないけれど生活が大変な家庭が増えています。

これまでに出てきた支援は相当ハイリスクな状態でないと入ることができず、サポートが必要な層に手が届いてきませんでした。

 

今回説明いただいたのは、生活困窮世帯の子どもの学習支援。

生活困窮者自立支援法にもとづいて運営されています。

市町村によって状況は変わりますが、今回お話をいただいた市では小学生高学年・中学生・高校生を対象に無料で学習支援を行っています。

生活困窮世帯の子どもが充分に勉強ができず、貧困の連鎖につながるのを防ぐ狙いですね。

 

生活が大変な家庭は子どもの人間関係も経験も薄くなりがち。

親以外の大人との交流や小さなチャレンジや成功体験を積める機会があるかないかは、成長に大きな影響を与えます。

学習支援では学習そのものも大事ですが、人間関係や経験を積める機会をどれだけ用意できるかがだいじ。

子ども食堂も話題になっていますが、こうした世帯への取り組みは今後も重要ですし、活発になっていくでしょう。

 

 

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児童福祉全体の説明が終わった後、全体のディスカッション。

こんなテーマで話し合われました。

 

児童虐待通報の流れ

生活が心配そうな子どもを見つけた場合、まずどうしたらいいか。

児童虐待が疑われる連絡窓口として「189」(いちはやく)があります。

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この番号に電話すると、自動的に最寄りの児童相談所につながります。

この番号に電話するのがひとつ。

 

もうひとつ、市町村の児童家庭相談室に連絡する方法があります。

平成17年2月の市町村児童家庭相談援助指針によると、

[1]児童家庭相談に応じることを市町村の業務として法律上明確にし、住民に身近な市町村において、虐待の未然防止・早期発見を中心に積極的な取組みを求めつつ、
[2] 都道府県(児童相談所)の役割を、専門的な知識及び技術を必要とするケースへの対応や市町村の後方支援に重点化し、
[3] さらに保護者に対する指導に家庭裁判所が関与する仕組みを導入するなど、司法関与の強化を行う

とあり、市町村が児童虐待に関する身近な相談窓口になることになっています。

児童相談所が忙しすぎてパンクしてしまっているので、相談をまず市町村で受けましょう、という流れ。

その辺の事情が分かってる人は市町村に連絡するのもいいようです。

 

しかし、市役所の相談窓口は土日には閉まってしまいます。

週明けまで待てないくらい緊急性の高い場合は、やはり「189」か、もしくは警察に電話してしまうのがいいですね。

 

未就学児、義務教育卒後の所属がなくなる問題

未就学児で保育園・幼稚園に通っていたり、学校に通っている子どもは、そこと連携しながら支援に当たれますし、子どもの様子もある程度把握できます。

しかし、どこにも通っていない未就学児や、中卒・高校中退して所属がない子どもは支援が難航しがち。

様子もわからないし、家族以外に身近な大人がいないので、状況が深刻化しやすいようです…。

 

保護者の精神障害発達障害

児童福祉の現場で最近目立つようになってきたのが、保護者にうつ病統合失調症などの精神障害や、発達障害が疑われるケース。

発達障害の場合は疑いのみで診断まで至らないことも多いようです。

いずれも子どもや周囲の人々とコミュニケーションがうまくいかなくなる場合があり、孤立してますます生活が困ることに。

 

スクールソーシャルワーカー(SSW)の有用性と課題

近年注目されるSSW。

学校の中に配置され、子どもや保護者の相談を受けて学校生活・家庭生活の安定をサポートします。

特に市役所や病院、福祉関係の機関など、学校外の連携が期待されています。

 

課題のひとつは地域間格差

東京には150名いるものの、千葉では12名のみ。人数に大きなバラツキがあります。

もうひとつは、期待される学校外の連携。

学校の中に入って活動するということは、学校のヒエラルキーの中に組み込まれるということ。

個人情報が壁となり、連携がうまく進まないこともあるようです。

 

まとめ

今回の勉強会では、児童福祉を「年齢」と「生活の不安定」の2つの軸で整理してみました。

年齢では小学生入学前後で分かれ、生活の不安定は虐待と触法という課題であらわれてきます。

 

今回の勉強会は、児童福祉の現状と現場が感じる課題をシェアするのが目的。

様々な関係者でディスカッションできて関係がつながり、アクションのきっかけになるプラットフォームを目指してがんばります!