人生相談所に勤めてるけど質問ある?

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「なにかあったら相談して」と人は言うが、相談するにも練習がいるのだよ

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「なにかあったら相談して」

 

なんとなく困ってそうな人に対して、こんな言葉かけをしたことはないだろうか。
自分はよくある。

何気なく伝えるこの言葉、よくよく考えるとそうとうハードルが高いことだなぁ、と思う。

 

相談の現場で、こんな人とときどき出会う。

生きるか死ぬかのギリギリになってからはじめて相談に来る人。
一回会って話ができても、その後連絡が途切れてしまう人。
なにが相談したいのか聞いてもわからず、同じ話を何度も電話してくる人。
社会への恨みをただひたすら言い続けて、話が前に進まない人。

もっとうまく相談できたらこんなに困らずにすんだのに、とも思う。
でも多分、他人に相談することって、けっこう難しいことなんだ。

 

他人に相談するために必要な3つの条件

他人に困りごとを相談するには、次の3つの条件をクリアする必要がある。

  1. 「相談するといいことがある」と思える
  2. 相談したいことが自分でわかっている
  3. 相手にわかるように言葉にして伝えられる

ひとつずつ考えていく。

 

「相談するといいことがある」と思える

なんて書くと「そんなことは当たり前」と思うかもしれない。

 

不思議なことかもしれないが、世の中にはそうではない人がたくさんいる。

 

  • 親の意に沿わないことをやろうとすると全て邪魔されてきた。
  • 親がメンタルの病気で、ものごころつくころから親の"ケア役"を担わされてきた。
  • 発達障害があって落ち着きがないのを親に否定され、厳しく指導された。
  • いじめをうけて教師に相談しても、なにもしてもらえなかった。
  • メンタルの症状が辛くて相談しても、「薬を飲め」としか言われず気持ちを受け止めてもらえなかった。

などなど、こんなのは実際に見聞きしたごく一部。

 

家庭や学校などで他人に力になってもらったことがない人が、誰かに相談したら力になってもらえると想像できるだろうか。

実際に困って相談しても相手にされない経験を味わった人が、いまさら他人に相談したいと思うだろうか。

 

 

相談したいことが自分でわかっている

これまた不思議なことを言うようだけど。

 

自分がなにを相談したいのか、自分でわかっている人はそう多くない。
ましてや、他人に相談する経験を積んでこなかった人はなおさら。

自分の気持ちを押し殺して生きてると、だんだん自分の気持ちがわからなくなってくる。
いざ他人に相談してみようと思ったときに、適切に自分のことを話せなくなる。

 

親の言いなりになって生きるしかなかった人で「自分がなにがしたいかわからない」って感じてる人は多い。

自分よりも親が望むことを優先して考えてると、いつしか自分がなにを望んでるかわからなくなっちゃうんだ。

 

相手にわかるように言葉にして伝えられる

相談したいことが自分でわかってても、まだじゅうぶんじゃない。
自分の考えを言葉にして伝えることって、なかなか難しい。

 

コミュニケーションって、うまくなるには練習が必要なんだけど、ある程度のコミュニケーション能力がないと経験を積める場に参加できない。ってかさせてもらえない。

コミュニケーションをうまくこなせる人はますますうまくなって、下手な人はどんどん取り残される。コミュニケーション格差が広がっていって、理解も得られず孤立を深めていく。

 

私的領域に公的支援が必要になった

いままで、他人に相談するときには以下の3つの条件を満たす必要がある、と述べてきた。

  1. 「相談するといいことがある」と思える
  2. 相談したいことが自分でわかっている
  3. 相手にわかるように言葉にして伝えられる

もし、あなたが誰かに相談してほしいと思ったら、相手がこの3つの条件を満たしているかを考えてほしい。

 

その人が他人が自分の力になってくれると期待してなかったら、他人と一緒に過ごす安心感、力になってくれる期待感を持ってもらうことからはじめなきゃならない。

それは多分、ただ一緒にいるだけでいいんだと思う。
無理に言葉にしなくても、一緒にご飯を食べたり遊んだりしてればいい。実際、それだけで元気が出て自分の力で解決に向かえる人もたくさんいる。

そんな時間を重ねていろいろ話しているうちに、その人はあなたに相談してくる、かもしれない。
かもしれないくらいの気持ちでいたほうが、きっとお互いラク。

 

もし、あなたが誰かに相談したいのに誰も一緒に過ごしてくれない場合、ここに電話してみるといいかも知れない。

国がお金を出して運営している、24時間・365日の電話相談。

 

よりそいホットラインの報告書にこんな記述があった。

私的領域に公的支援が必要になった

本当にそうだなぁと思う。

 

一緒にご飯を食べて、他愛のない話をする。
どこにでもある「私的」な時間を重ねて、人はコミュニケーションの練習をする。

そんな、当たり前のコミュニケーションの練習ができる人間関係を持たない人が、安心して練習できる機会。

 

「私的」にそうした機会をいつまで経ってもつくれないんだったら、「公的」なところで用意したらいい。

 

「なにかあったら相談して」と言う前に。

「なんでそんなに困ってるのに相談しないのよ!」と言う前に。

 

その人があなたに相談する準備ができてるか。

その人があなたに相談する準備を一緒にできないか。

考えてみたらいいと思う。