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【平成27年9月17日公表】厚労省が公開した「新たな時代に対応した福祉の提供ビジョン」にコメントしてみた

厚労省から新たな福祉のビジョンが出されました。柱は4つ。

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  1. 包括的な相談体制システム
  2. 高齢・障害・児童等への総合的な支援の提供
  3. 効果的・効率的なサービス提供のための生産性向上
  4. 総合的な人材の育成・確保

少なくともビジョンとしてはどれもその通りだと思います。
いろいろ思うところがあったので、このビジョンにひとつひとつコメントしていきます。マニアックなのは承知の上だー。

 

1.包括的な相談体制システム

今まで分野別に福祉制度が発展してきたのは意味があったんでしょうが、分野をまたいだノウハウ共有が進まず、非効率を生んでいます。そこを束ねる意義は大きい。
本当はどの相談窓口に行っても高齢も障害も児童もなんでもOKになればいいんでしょうが、すぐにはなかなか難しい。中心になる窓口が一つあるとスムーズにいくのは、千葉の中核地域生活支援センターをみればわかります。

中核地域生活支援センターの設置/千葉県

というかこの「包括的な相談体制」って、かなり前から何度も出てきてないですか?生活困窮者自立支援法の自立相談支援事業とか。この新しい相談窓口と生困法の窓口は連携していくみたいですけど。
「包括的な相談体制」がなかなか実現しない原因をちょっと考える必要があると思います。自分が考える理由は後ろに書きましたよ。

 

2.高齢・障害・児童等への総合的な支援の提供

相談窓口だけじゃなく、集まったり泊まったりできる場所も分野をまたいで作っていきたいみたいです。特に過疎地域では、地方創世の予算を使っての取り組みが始まってるとか。

その場所では、集まった人たちで「いかに今日1日を機嫌よく生き延びていくか」を一丸となって考えていければいいんだと思います。よく言われる「支え合い」とも違う。
高齢や障害ゆえの不便さを補うのはサービスかもしれないけど、力を合わせて機嫌よく生き延びるのは、能力のあるなしは関係ない。実際、場のメンバーが最も機嫌よくなれるのは、何もできない赤ちゃんがいることだったりします。

必要なのは支援じゃない。共同体です。

 

3.効果的・効率的なサービス提供のための生産性向上

福祉に効率とはけしからん!と思うかもしれませんが、必要なムダは省いちゃだめだけど、不必要なムダを省くのは大事なこと。
厚労省はICTとか難しいこと言って予算要求してますけど、そこまでしなくてもできることはいろいろあるはず。

例えば、福祉の業界は電話連絡が多すぎる。5分以内に返答がほしいこと、相談ごと以外はメールにしてほしい。電話じゃなくてもいいことで仕事が中断させられるのって、けっこう苦痛。名刺にメールアドレス書いてなくて、FAXせざるを得ないときは絶望的になります。昭和かと。
あと、会議多すぎ。そして長すぎ。進行役が落としどころを考えてないこともあるし、メンバーが言いたいこと言って進行に協力しない。顔をあわせることも大事だけど、Skypeとかも柔軟に活用してほしい。

必要なムダは省いちゃだめだけど、不必要なムダを省くのは大事。大切なので2回言いました。

 

4.総合的な人材の育成・確保

1や2の施策がいいことなのはわかるんだけど、すぐに誰でもできるわけじゃないから研修とかやって育てましょうね、ってこと。そりゃそうです。

自分も2年前から総合相談っぽいお仕事してますが、分野を超えた相談って知識より考え方のハードルの方が大きい。
対象やできることが限定してる相談窓口は「あなたの相談内容はうちじゃないです」って言えばすむけど、総合相談だとそうはいかない。

総合相談では、相談に来た人の暮らしを、分野にこだわらずにあらゆる手立てを駆使して考える必要があります。手立てがなかったら自分たちの手でできることを相談者と一緒にやるんです。ゴミ屋敷の掃除とか。自分も2年で10軒くらいはやりました。まだまだ。

制度とかの知識は相談に乗ってるうちに覚えてきます。言い換えると、相談に来た人が覚える機会をもたらしてくれます。感謝すべき。でも、あらゆる手立てを目の前の人の暮らしを支える考え方は、なかなか身につかない。
相談所のリーダーが指針を身をもって示せるかが重要です。自分はそのへん、恵まれています。

 

厚労省の出すことって、ビジョンはとってもいいけど具体的になると「なんじゃこりゃ?」ってなることもしばしば。いろいろ深堀りしていこうと思います。

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